Banyan/Live at Perkins' Palace


BANYANについては初めはNELS CLINEのギターは相変わらずかっこいいんだけど黒いノリwが欠けた70年代マイルスという印象で自分の中では評価が低かった。しかしミニットメンのMike Wattがベース、ジェーンズアディクションのStephen Perkinsがドラムというわけでパンクジャズという視点でみるとかなり面白いバンドだと思った。
でもつくづくこのアルバムって70年代マイルスと80年代インディペンデント系ポンコツパンクを足して2で割ったような音楽、サウンドだと思う。トランペットとワウギターがからんでファンクっぽいことやってると全部エレクトリックマイルスに聴こえるというのはちょっとバカっぽい感想だけど。
ラストの曲のstoogesのfun houseのカヴァーも素晴らしい。あの曲からイギーの奇声抜くだけでこんなドロドロしたジャズファンクになるなんて。まあもちろんstoogesバージョンもかっこいいんだけど。

Frank Zappa/Hot Rats


ザッパは結局これが一番好き。ローランド・カークっぽいM.5が特に好き。

Derek Bailey、 Jamaaladeen Tacuma、Calvin Weston/Mirakle


ベイリーの作品の中でもこのアルバムはとても聴きやすい。
バックをつとめるジャマラディーンタクマーもカルヴィンウェストンもジェームスブラッドウルマー関連の人脈ってこともあってすごくファンキー。ベイリー流のジャズファンク?

Sonny Sharrock/Ask The Ages


ソニーシャーロックの遺作にしてこれが個人的には最高傑作だと思う。
ファラオサンダースのプレイもかっこいい!
これがジャズフォーマットに沿ったプレイに聴こえる人は冒頭のいかにもスピリチュアルジャズ(?)っぽいフレーズ聴いただけでリタイアしてる人だと思う。実際はだいたいおのおのの曲にテーマの後にシャーロックの激しいソロが用意されている。比較的普通に弾いているテーマ部分とメリハリがあって、ほぼ全編混沌のラストイグジットあたりよりもシャーロックのギターの凄さが分かりやすくいいと思う。

Scorch Trio/Scorch Trio







Scorch Trio
フィンランド出身でバークレー卒のギタリスト,ラウール・ビョーケンハイムとノルウェーのリズム隊インゲブリグト・ホーケル・フラーテン(B)ポール・ニルセン・ラヴ(Dr)によるインプロ系フリージャズトリオの1stアルバム。アルバートアイラーやジミヘンから影響を受けたビョーケンハイムのプレイは最高に変態!新宿Pit Innでのライヴを観たが視覚的にみてもその演奏はすごかった。音色が近いギタリストを挙げるとするとマークリボーあたりか。ジミーペイジがDazed And Confusedでやっていたようにボウイングみたいなこともやっていて面白い。(その際使用している楽器は正確にはエレキギターではないらしくヨーロッパで中世からあった楽器を改造したものらしい。)リズム隊もプレイ自体もすごいがベースは時折ひたすらペグをまわしたり、ドラムはスティックでスネアを引っ掻いたりとギターに負けずノイジー。
トリオ編成で完全一発録りオーヴァーダブ等一切無しでこの破壊力、マサカー、アルタードステイツあたりが好きな人ならきっと気に入るはず。

フェダイン/Ⅳ







2曲目でのカズ中原氏のギターが最高!

梅津和時KIKIバンド/Dowser


Youtubeの動画のコメントで海外の方が現代のプログレと評していたけど、まさにそんな感じ。実際ギターの鬼怒さんはゴングやクリムゾンからの影響を公言している。しかしプログレ、インプロものにありがちな冗長な印象は受けず、アルバム通して退屈することなく聴ける。梅津さんの他のプロジェクトでやってるクレツマーものの要素も強い。ドラマーはエリオットシャープのCarbonで叩いてたジョー・トランプ。
まあとにかくライヴが最高。アルバム聴いて気に入ったらなんとしても観てくだい。

David Torn、Mick Karn、Terry Bozzio/Polytown


クリムゾン、ジャパン、ザッパの共演的(?)なスーパートリオ。
とにかくかっこいい。ミックカーンとデイヴィッドトーンの共演音源は他にもあるけど個人的にはこれがベスト。

Miles Davis/Dark Magus


Miles Davisの最高傑作はどのアルバムかというのは置いといてピート・コージーの狂ったギターが堪能できる作品というのはオフィシャル盤だとアガパンかこのアルバムくらいしかないと思う。
マディウォーターズのElectric Mudでのプレイ等もいいんだけど、マイルスバンドにおけるレジー・ルーカスのリズムギターとの絡みがあってこそピート・コージーのプレイが一番生きてくると思う。

Tisziji Munoz/Live! Great Sacrifice


ムニョスの傑作ライヴ盤。Sonny Sharrock/Ask The Agesあたりが好きな方には是非聴いてほしい!

Massacre/Killing Time


個人的にはNW/ポストパンクの3大名盤をPIL/Metal BoxとJames Blood Ulmer/Are You Glad To Be In America?とこのマサカーの1stだと思っている。ちょっとPIL以外の二つはNW、ポストパンクに分類するのは苦しいかもしれないけど。
しかしこのソリッドな音、10代でしかもVOIDOIS・スクリッティポリッティのドラマーであるフレッドマーがメンバーであること、他のポストパンク系のバンドと同じく初期で燃え尽きてしまったことあたりが自分がマサカーをポストパンクバンドに位置づけるポイントである。
まあカテゴライズなんてどうでもいいとしてフレッドフリスのギターがここまで堪能できる作品も他にないと思う。
step across the borderでこのアルバムの一曲目のlegsを演奏してるシーンがあったがイントロのカッティング系フレーズを全部ダウンで弾いてたのが意外だった。

Captain Beefheart/Trout Mask Replica


アヴァンギャルドロックの大名盤。文句なしの傑作。
音がとにかくかっこいい。ズートホーンロロのギターが最高!

Harriet Tubman/Treasure Hunt For The Prototype


スタジオ盤も素晴らしいけどこのライヴ盤も捨てがたい。
もともとハリエットタブマンはスタジオ盤でもライヴ並みの臨場感、テンションがあるのでスタジオ盤との違いはそれほど感じることはできないけどw
でもスタジオ盤ではやってない曲もこのアルバムには入ってるので是非。

Electric Masada/At The Mountains Of Madness


ジョンゾーンによるユダヤ音楽を演奏するというコンセプトを持つプロジェクト、マサダの電化した(メンバーも全然違う。)エレクトリックマサダの2005年のヨーロッパツアーを収録した2枚組ライヴ盤。ニューヨークと言わず世界的にみても今現在、非黒人系のバンドとしてはこれ以上のジャズグループはいないといってもいい。とにかく悽い。コブラ、ネイキッドシティ、ペインキラー、マサダ等ジョンゾーンのこれまでの活動のまさに集大成的な作品。マークリボーのギターも最高に冴え渡っている。

Harriet Tubman/I Am A Man


カサンドラウィルソンのアルバムのディレクションで名をあげたブランドンロス(G)、ロリンズバンド、デコーディングソサイエティ等に参加したメルヴィンギブス(B)、リヴィングカラーの初代ドラマーであるJTルイス(Ds)によるバンド。
パワートゥールズのレヴューでも触れたけどパワートゥールズをかなり意識したトリオだと思う。実際メルヴィンギブスはパワートゥールズのメンバーだったしブランドンロスはフリゼールが「ハヴアリトルフェイス」の録音の頃使用していたスティーヴクラインのスタインバーガーを使うくらいのフリゼールフリークである。
個人的には一曲目のSavannaが最高。

Ronald Shannon Jackson/When Colors Play



Ronald Shannon Jackson - Drums
Eric Person - Soprano and Alto Sax
Zane Massey - Tenor and Soprano Sax
John Moody - Bass
Cary DeNigris - Guitar
Masujaa - Guitar

86年のライブ盤。個人的にはロナルドシャノンジャクソンのデコーディングソサイエティではこれが最高傑作。もちろんヴァーノンリードがギターを弾いているマンダンスやバーベキュードッグも素晴らしい(後にスティーヴィーサラスが参加して作ったトリプルギターのレッドウォーリアーも傑作)。しかし自身がドラムを叩いたオーネットコールマンのアルバム、ダンシングインユアヘッドやボディメタから受け継いだフリーファンク路線を独自に推し進め一種の到達点に達したのがこのライブ盤だと思う。またシャノンジャクソンのドラムがこれほどまでよく録れてるアルバムもほかにない。ライブ盤特有のテンションの高い演奏も素晴らしい。前述のオーネットコールマンのアルバムやジェームスブラッドウルマーまたはNW、ポストパンクが好きな人にも是非聴いて欲しい一枚。

Public Image Ltd/Metal Box


レゲエ/ダブの影響を強く受けたサウンドが最高にかっこいい。キースレヴィンのトラヴィスビーンのアルミネックギターのサウンドは独創的であり後世に与えた影響も大きい。一聴した感じめちゃくちゃに弾いてるようなギターもフリージャズなどでよく使われるトーナルセンターや、セロニアスモンク的な半音ぶつけ奏法みたいなものがあり、計算のうえに出された音であるらしい。
シンセサイザーも随所で効果的に使われている。ギターにしろシンセにしろ、アルミネックギター、Prophet-5など機材のチョイスが王道から少しずれてるのも面白い。
NW史上と言わずロック史上最高の問題作。

Marc Ribot/Y Los Cubanos Postizos


タイトル通り、キューバ音楽のカヴァー。
マークリボーはルートレスコスポリタンズにおけるアートリンゼイ的な作風よりもこういう泥臭さが強い作品が一番向いてると思う。もちろん歌伴ものにおけるバックでのソロなども素晴らしいんだけど。
このアルバム唯一のオリジナル曲であるM.4のPostizoが特に好き。

山下洋輔トリオ/クレイ


森山威男のドラムが圧巻!
非常に手に入れずらい作品だけどフリーものが好きな方には是非聴いて欲しいです。

James Blood Ulmer/Are You Glad To Be In America?


オーネットコールマンのバンド出身のギタリストのリーダー作の2nd。
フリージャズありファンクありソウルありロックありのバラエティに富んだ作品であり、最高にフリーキー。ジミヘンの後継者というキャッチコピーがついていたこともあるが全く似てない。というかウルマー自体他のどのギタリストとも似ていなく、独自の演奏スタイルを確立している。汎用チューニングが上からEEBEBEとなっているのも興味深い。後に一時期スタインバーガーに乗り換えていたこともあったが基本的にずっと使ってるGibsonのバードランドの音色も魅力的。
一応カテゴリーとしてはジャズギタリストというジャンルに属しているかもしれないが、英国のラフトレードからこのアルバムが出たことや、あきらかに当時のNWの影響を受けたサウンドから、ジャンルの垣根を越えた大傑作といえる。 
ちなみに大友良英氏は影響を受けた三人のギタリストとしてピートコージー、デレクベイリー、そしてこのジェームスブラッドウルマーを挙げていた。